1.27年度税制改正要望
各省庁の要望のまとめ
■金融庁の要望:ジュニアNISAの創設
・NISAの若年齢層版(0歳~19歳未満が対象)
・18歳までは、払い出しを原則禁止
(払い出しをした場合は過去の利益に対して課税を行う)
・年間80万円までの投資を無税で行える
・資金拠出者は親や祖父母などを想定
・20歳以降はNISAに自動引き継ぎ
■文部科学省の要望:教育資金一括贈与の恒久化など
・教育資金の一括贈与をした場合の非課税摘要期限が2015年12月末まで
⇒これを恒久化する
・教育費の範囲に通学費用を含める
・贈与者の範囲に叔父、叔母、篤志家などを含める
⇒受贈者の範囲拡大も要望あり
■国土交通省の要望:住宅取得等資金非課税制度の延長、拡充
・適用期限の3年間延長(現在:2014年12月末まで)
・非課税枠を最大3,000万円まで拡大(2014年は1,000万円まで)
■経済産業省の要望:事業承継税制の拡充
・事業承継税制…非上場株式等の贈与税の納税猶予制度のこと
・2代目から3代目への再贈与についても納税猶予制度が適用できるように
⇒現状は、初代が健在で2代目から3代目への贈与があった場合、初代から2代目への贈与税の納税猶予制度が打ち切られて2代目に贈与税の納税義務が発生する
2.改正会社法における社外取締役・監査役の留意点
・改正会社法では社外取締役の義務付けは見送り
→ただし株主総会で「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明すること、事業報告及び株主総会参考書類において理由を記載の必要有り
■留意点
・対象は上場会社に限らない
→公開・大会社である監査役会設置会社であって、有価証券報告書提出義務を負う会社が対象
・平成27年3月末決算時に未選任の場合、株主総会で説明不要か?
→平成27年6月の総会で「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明必要
・親会社からの受け入れはNG
→改正後は下記該当者は社外取締役の要件満たさない
①親会社の業務執行者等、②兄弟会社の業務執行者等、③業務執行者等の近親者
※既に親会社を退職の場合はOK
※改正法施行前に選任している場合は、3月決算であれば平成28年6月の総会までに選任すればよい
3.執行役員への就任に伴う退職金
■事例
・合併により転籍してきた総務部長が執行役員になる
・執行役員の就任に伴い退職金が出る
■この退職金は退職所得になるか?
⇒下記要件を満たせば退職所得となる。
①執行役員退任時の退職金は、執行役員になる前の勤続期間を加えないこと
②委任契約であること
③執行役員退任後、使用人としての再雇用の保証が無いこと
④執行役員就任後の報酬・福利厚生等は役員に準ずること
■退職所得控除の計算に係る勤続年数は?
⇒合併前の期間を含む。
ただし、包括承継でない時(一度退職してから新会社へ再雇用)は含まない
※退職所得の計算
(退職金-退職所得控除)×1/2
※退職所得控除の計算
・勤続20年まで 40万円×年数
・勤続20年超 800万円+70万×(年数-20年)
⇒20年の場合は800万円、21年の場合は870万円
4.航空機リース事業、TH税制がネックに
【1】タックスヘイブン(TH)税制とは?
①低税率国(法人所得税率20%以下)に所在する子会社の法人税率
・TH税制が適用されない場合(子会社に事業実態がある場合)
⇒低税率国の税率
・TH税制が適用される場合(子会社が節税目的と判定される場合)
⇒日本の税率
②TH税制の適用除外要件
・事業基準、実態基準、管理支配基準、非関連者基準(or所在地国基準)の4要件
(すべて満たせば適用除外)
(すべて満たせば適用除外)
・事業基準とは、「子会社の主たる事業が、株式保有事業・航空機リース事業等でないこと」
⇒航空機リース事業を行う子会社は、事業基準を満たさず、TH税制が適用されてしまう
【2】27年度改正での議論
・LCCブームにより、航空機事業が賑わっている
・海外の航空機リース会社を買収し、子会社化する事例も発生
・一定の要件を満たす(低税率国で事業を行うことに経済合理性のある)航空機リース事業は、事業基準を満たすこととできないか
5.評価対象会社が保有する土地の時価を公示価格で算定
■事例
相続に伴う株価算定において評価対象会社が保有している土地の時価は、どの金額を用いて算定するか
■論点
<請求人の主張>
不動産鑑定士による評価額を基に算定
<原処分庁の主張>
路線価を0.8で割り戻した価額を基に算定
■結論
請求人及び原処分庁の主張を共に斥け公示価格をもとに算定した金額で評価する。
■理由
・請求人主張の算定方法は、あくまでも鑑定士による評価のため合理性を欠く。
・原処分庁の算定方法は合理的な算定方法ではあるが、路線価はあくまでも公示価格と同水準の価格の80%程度を目途に定められたものであるため、割り戻した価額が必ずしも正しいとは限らない。
(他に算定方法がない場合は採用しても問題なし)
・公示価格は国交省による正常な価格であり、取引事例が多々あることから合理性があると判断
6.アジア上場④
韓国取引所(KRX)
◆市場の構成
・有価証券市場・・・日本でいう本則市場
・コスダック(KOSDAQ)・・・新興市場
◆主な特徴
・市場規模はアジア4位(上位は東京、香港、上海)
・審査期間が比較的短い
・業種別ではIT分野の比率が高い
◆上場に関する形式基準
・直近3事業年度分の財務諸表及び監査意見
・韓国内の支店の設置や韓国人の取締役選任を義務付けていない
・韓国国内で開示実務を補助する者を選任する義務あり(外注も可)
・IFRS、USGAAP、韓国会計基準の選択適用
◆上場した日本企業
SBI子会社2社
ネプロ(現在は廃止)
クリック証券は上場承認後、取りやめ
7.消費税:税率改正後の簡易課税計算留意点(75%ルールの適用)
<75%ルールの判定方法>
⇒事業種類別の合計額で判定する(税率別で判定しない)
■設例 4% 6.3% 合計
第2種売上 1,000 29,000 30,000
第4種売上 1,000 800 1,800
合計 2,000 29,800 31,800
この場合、75%の判定は合計額(30,000/31,800=94.3%)で行う。
税率別に判定しないので注意。
【参考】
75%ルール・・・2以上の事業を行っている場合にその事業の課税売上の占める割合が全体の75%以上である場合、他の事業についてもその事業のみなし仕入率を適用することができる。
8.法人税:接待飲食費の50%損金算入(基本的には屋形船接待も対象)
・飲食を伴う接待が50%損金算入の対象になるかの判断は、
その主たる目的が飲食であるかどうかにより判断する。
その主たる目的が飲食であるかどうかにより判断する。
■屋形船は?
→基本的には対象
屋形船は船で遊覧するが、基本的には船内での飲食がメインと考えられるため。
ただし、例えば花火大会等のイベントと接待の実施日が重なるケースでは、花火鑑賞ではなく食事が主目的であることの説明が必要と思われる。
ただし、例えば花火大会等のイベントと接待の実施日が重なるケースでは、花火鑑賞ではなく食事が主目的であることの説明が必要と思われる。
※カラオケボックスやキャバクラでの接待も、主目的が飲食であればOK。カラオケやホステスとの歓談がメインの場合は対象外
9.長期解消将来減算一時差異
・会計と税務の相違のうち、いずれ解消するもの=一時差異
・一時差異のうち、翌期以降損金になるもの=「将来減算一時差異」
※例 減価償却超過額、賞与引当金等
・長期解消将来減算一時差異=建物の減価償却超過額&退職給付引当金
⇒区分3や区分4但し書きの会社は「概ね5年」分しか回収可能とみなされないが、長期解消将来減算一時差異は5年を超えた期間も◯となる。
10.加速する調剤M&A
・公表されている国内調剤薬局の売却店舗数
2011年:50件弱
2012年:50件弱
2013年:200件弱
2014年:(1~7月)150件弱
・M&A増加の理由
①今年4月の診療報酬改定(薬価のマイナス改定)
②「24時間・在宅対応」に対する加算
→中小では対応困難
→数千万円から、億円単位の営業利益を出している薬局でも売りに出てきている
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