1.塾講師等に支払う報酬の「給与所得」該当性
【事例】
・A社が、塾および一般家庭に対して、講師や家庭教師を派遣
・講師や家庭教師とは業務委託契約を結び、個人の能力に応じて対価を支払っていた
⇒対価の支払は給与所得に該当するか
【判決】(控訴審)
・給与所得に該当する(事業所得には該当しない)
・講師は、A社の示した『業務従事期間と条件』の下業務を行い、家庭教師は、A社の『指導期間、指導回数、スケジュール』に従い業務を行っている
⇒講師・家庭教師に、独立性なく、A社の監督下に置かれている
⇒実質は雇用契約に類する形態であり、事業所得には該当しない
2.受配規定見直しにらみ子法人株買集めも
■受取配当の益金不算入規定
・現行の益金不算入割合
①持分割合100%→全額
②25%以上100%未満→負債利子額を除く受取配当の全額
③25%未満→50%
・27年度税制改正の検討案
①持分割合100%→全額
②33%or50%以上100%未満→益金不算入割合縮小?
③少数株主持分以上33%or50%未満→益金不算入割合縮小?
④少数株主持分未満→益金不算入不可?
⇒改正を見越して、分散した子法人等の株式を買い集める動きが出ている。
3.「給与等」は賃金台帳の支給額で計算可
⇒所得拡大促進税制の「給与等」
①福利厚生費
・「給与等の範囲」=給与所得+通勤手当+福利厚生費
・ただし、実務上福利厚生費は賃金台帳に載らないから算出が困難
⇒賃金台帳の金額で算出してもOK
②資産の取得に含めた給与額
・「対象となる給与」=損金の額に算入した給与等の支給額
・自社製造品の棚卸資産や自社開発のソフトウェアを仕掛計上
⇒損金になっていない
⇒継続して「給与等の支給額」に含めている場合は損金でなくてもOK
4.税理士報酬の請求をめぐる最近の訴訟トラブル
●トラブル1(税理士勝訴)
<事例>
・無償で申告書を作成していたが有償へ切り替えた
・その際契約書は作成せず、提案書のみ送付していた(顧問先より返答なし)
・その後未払報酬の一部は返済したものの、それ以降は返済なし
・顧問先に対し支払い請求訴訟
<論点>
・税理士との顧問契約締結の契約書なし
・税理士が一部の支払を除き金銭を受け取らなかったため、無償で業務を行う旨の合意があったと主張
<結論>
・報酬額の提案書を顧問先に送付
・有償期間中は税理士が申告書を作成していた
・顧問料を一部支払っていた
この3点より有償の顧問契約が成立していたと認定。
また未払報酬が存在している状況で税理士が申告書作成を行っている点で、税理士が報酬の支払いを免除したと認める証拠はなし
⇒顧問先に支払を命じた
●トラブル2(税理士勝訴)
<事例>
・期限後申告をして無申告加算税50万円が賦課された
・申告報酬料200万円が未払い
・期限後申告は税理士に過失があるので、無申告加算税分を相殺すべきと主張
<論点>
期限後申告は税理士側又は顧問先側どちらに過失があるか
<結論>
顧問先内において役員の対立があり、社長が決算書を承認しなかったことが原因
⇒顧問先側の事情によるため、未払報酬料全額を支払うよう命じた。
5.アジア上場⑥
中国上場
◆市場の構成
上海証券取引所・・大企業向け
・メインボードのみ
シンセン証券取引所・・・中小企業向け
・メインボード
・中小企業ボード
・創業ボード
◆主な特徴
・上海+シンセンの時価総額は世界3位・アジア1位
・人民元で取引するA株と米ドル(上海)・香港ドル(シンセン)で取引するB株がある
・企業は上海・シンセンの上場市場の選択が出来ない(同時上場も不可)
・外国企業の直接上場は認められていない
◆上場のメリット
・現地での宣伝効果が高い
・人民元の直接調達が可能(人民元建ての借入には規制がある)
・インセンティブプランの導入が可能(SO等を導入し、賃金上昇を抑える効果)
◆上場に関する基準
・上場申請の際は、申請を支援する証券会社をスポンサーとして任命しなくてはならない。
⇒日本の主幹事証券制度
・スポンサーは上場後のディスクロージャーに関しても法的責任を負う
6.消費税:簡易課税制度のみなし仕入れ率の改正
∇改正内容
改正前 改正後
金融業・保険業 第4種(60%) 第5種(50%)
不動産業 第5種(50%) 第6種(40%)
⇒平成27年4月1日以後開始事業年度より適用
∇経過措置
平成26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する場合には、適用開始事業年度から2年間は旧みなし仕入れ率を適用できる。
(例1)提出日 平成26年9月30日
適用開始事業年度⇒平成27年4月1日~平成28年3月31日
翌事業年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)まで旧みなし仕入れ率を適用
(例2)提出日 平成26年3月31日
適用開始事業年度 平成26年4月1日~平成27年3月31日
翌事業年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)まで旧みなし仕入れ率を適用
7.法人税:過大役員給与は総額で判定
定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与の要件を満たす役員給与であっても、過大な部分は損金不算入とされる。
•実質基準
•形式基準
のうち、多い金額と支給額を比べて判定する。
支給額の総額を用いて判定する。
①定期同額300万円×12+事前確定6400万円
②定期同額30万円×12+事前確定9640万円
では過大役員給与の判定では同列に扱われる。
8.監査等委員会設置会社の取締役の報酬
・監査等委員会を置く会社
・H26年度改正で成立(2014.6.20成立)
・H27年4月又は5月には施行予定
・置くかどうかは定款自治
・公開会社&大会社は以下の3択に
監査役会設置会社
委員会設置会社
監査等委員会設置会社
・監査委員である取締役の報酬は他の取締役とは別で決定
9.電気料金4割上昇の内訳
・東電が発表している家庭用モデル料金
2011年3月:6,251円→2014年9月:8,477円
35.6%の増加
・増加内訳
太陽発電促進+14円
再生可能エネルギー促進+217円
料金改定+359円
消費税+230円
燃費調整+1,407円
・「料金改定」=原子力発電が火力発電に変わったことによる、燃料使用「量」の変化
「燃費調整」=燃料「単価」の変化
・2011年からドルベースで原油価格が33%上昇、円安
・原子力発電を元のように稼働させても、電気料金が元に戻るわけではない
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