1.海外信託を利用した孫への生前贈与スキーム、納税者敗訴
■平成25年度改正前
・贈与者:国内に居住 受贈者:国外に居住の場合
国内財産にのみ贈与税を課税
国外財産については、日本において贈与税が課税されない
■平成25年度改正後
・贈与者:国内に居住 受贈者:国外に居住の場合
国内財産、国外財産ともに贈与税を課税
2.相続税・贈与税における新株予約権の評価
■財産評価基本通達に評価方法が規定されている新株予約権の範囲
①新株予約権のうち、下記を満たすもの
A)無償で発行されたものであること(②は除く)
B)その目的である株式が上場株式または気配相場等のある株式であること
C)課税時期が権利行使可能期間内にあるものであること
②上場新株予約権
■相続税・贈与税における新株予約権の評価方法
①=(株式の価額-権利行使価額)×行使時の株式数・・・本源的価値
②=金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格等
3.通達から読む生産性向上設備投資促進税制
■制度おさらい
・一定規模以上の生産性が向上する設備を取得した場合
H28.3.31までに事業供用⇒即時償却 or 5%の税額控除
H29.3.31までに事業供用⇒50%の特別償却 or 4%の税額控除
・税制を受けるには金額の判定があるので注意
⇒機械160万円以上、工具器具備品120万円以上 等
■ポイント①
・補助金収入による圧縮記帳を行った場合
⇒圧縮記帳後の金額により取得価格要件判定をする
■ポイント②
・基本的に貸付けのために購入した資産は対象外
⇒自社製品の加工等のため、下請け会社に貸与するなら適用可能
■ポイント③
・中小企業投資促進税制との組み合わせ(※①即時償却or7~10%の税額控除)
⇒期中に増資をして中小企業から大企業になった場合でも、中小企業のうちに資産を取得、事業供用しておけば※①の適用可能
4.純額方式等はベンチャー税制適用時限定
・投資事業有限責任組合の事業から生ずる損益
⇒分配割合に応じて、各組合員に帰属する
⇒税務上の帰属方法は下記の3つ
①総額方式:割合に応じた収入、費用、資産、負債を計上
②純額方式:割合に応じて損益のみを計上、その分出資金を増減
③中間方式:割合に応じて収入、費用を計上、その分出資金を増減
⇒原則は、①総額方式(②、③は課税上弊害がない場合のみOK)
⇒②純額方式は、資産が帳簿に計上されないため、資産の評価損の損金算入が認められなかった裁判事例あり
・26年度改正のベンチャー投資促進税制
⇒一定要件のもと、②純額方式、③中間方式の適用を原則認めている
⇒上記税制の適用を受けない投資事業有限責任組合投資は、いままでどおり、②、③は例外適用
※一定要件:財務諸表にベンチャー投資促進税制の適用銘柄を明記することなど
5.著作権の評価、新作の印税収入は控除不可
■事例
相続に伴う著作権の評価方法について、
(注)著作権の評価方法(財産評価基本通達148条)
著作権に係る課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額を基に算定する。
ただし課税の公平の観点から正当な理由がある場合には、通達の定めによらない評価方法をもって算定することができる。
①
請求人の評価方法
前年以前3年間の印税収入の算定にあたり、相続発生後に生じる新作の著作権印税収入を含めないで算定した結果、通達による評価額よりも低い価額で評価
②
理由
著作権者(被相続人)が生存していたと想定した場合の価値に伴う著作権印税収入と死亡後の価値に伴う著作権印税収入では大きな差額が発生するため、相続開始前と同水準の価値による印税収入は見込めない、すなわち価値は0円と判断をした。
■論点
相続開始前と後による著作権の価値変動が、通達とは異なる評価方法を採用する正当な理由として認められるか否か
■結論
正当な理由と認められない
■理由
著作権者又は相続人のどちらかが行使するかによって、著作権の価値変動による印税収入額に大きな差が発生したとしても、通達の評価方法は変動があることを前提した方法(=年平均額で算定)であるため、正当な理由に該当しないと判断をした。
6.消費税:一身専属の資格に係る事業の承継
(相続があった場合の特例の適用について)
<事例>
・医師である夫が死亡
・相続人は妻、相続した建物で不動産賃貸業を開始
・診療所は勤務医であったA(相続人でない)が承継
1.消費税の申告
相続人である妻が死亡日から4か月以内に夫の消費税を申告納付する。
また、速やかに「個人事業者の死亡届出書」を提出する。
2.妻の基準期間における課税売上高
夫の事業(医業)を承継したものでないため、基準期間における課税売上高はゼロ(免税)となる。
※妻が医師で診療所を引き継いだ場合は「相続があった場合の特例」が適用される。
3.診療所を引きついだA
Aは相続人でないため、「相続があった場合の特例」は適用されない。
よって基準期間における課税売上高はゼロ(免税)となる。
7.法人税:定期同額給与の業績悪化改定事由に該当しないものとされた
(事例 東京地裁)
■事実関係
•A社とB社は関連会社であり、A社からB社へ多額の手数料を支払っていた。
•B社は債務超過状態。A社の業績に問題はない。
•B社の債権者XはA社に対し、A社の役員報酬を減額してB社への支払手数料を増額することを要請し、A社はこれに応じて役員報酬を減額した。
•このA社の報酬改定に至る経緯が業績悪化改定事由に該当するか、税務当局との間で争われた。
■東京地裁の判断
•該当しない。税務当局の主張を認めた。
•A社の業績は悪化していないのが理由。
•A社とB社は一体であり、個別の業績で判断すべきでないというA社の主張は退けられた。
8.東証:ライツ・オファリングの制度見直し
・9/3、東証は「新株予約権証券の上場制度の見直しについて」を公表
・ライツ・オファリングにおいて、既存株主に不利益が生じる事例が散見されるため見直しが行われる。
新株予約権証券の上場基準の見直し
①増資の合理性に係る評価手続(AかBのいずれか)
A:証券会社による審査
B:株主総会決議
②経営成績及び財政状態に係る基準(CやDに該当するとアウト)
C:直近2期連続の経常赤字
D:直前事業年度または四半期会計期間末で債務超過
9.平成26年3月期「有報」要点分析
トピック
・退職給付会計基準の適用
・単体開示簡素化への対応
事例
・退職給付
-退職給付見込額の期間帰属方法を変更する会社が目立つ
-期間定額基準(従来の日本基準)から給付算定式基準(IFRSの方法)へ
・単体開示簡素化(注記の省略、製造原価明細書の省略等)
-全て適用せず一部だけ簡素化する事例あり
10.会計システムの構築に際しての留意点
⇒品質、コスト、納期のバランスを意識すること。
・システム要件をあれもこれも盛り込まない
・システムプロジェクトの残り時間を意識する
・現状業務のままでいいのか考える
11.収益性改善・経営基盤強化を実現するM&A
国内市場の縮小、競争の激化等により当事企業の売上高増加が極めて困難な状況を前提とした場合、外部環境に影響を受けやすく実現可能性が不確かな売上シナジーよりも、むしろ自助努力により達成可能性が高いコストシナジーやキャッシュフローシナジーの実現が重要
①シナジー効果の実現
⇒統合によるシナジー効果の期待を理解し、実現に向けた体制構築が重要
②利害関係にとらわれず全体最適化
⇒マネジメント。従業員の統合のあり方のみならず、株主等の利害関係等の利害の整理のあり方についても検討し同時に達成
③買収価格
⇒買収会社の株式を対価とする場合、将来のシナジー効果の実現により値上がり機会があるため、プレミアムは通常なし
⇒現金を対価とする場合、将来のシナジー効果の実現により値上がり機会がないため、プレミアムを考慮
12.経理:信託を用いた流動化スキームの会計処理
【内容】金銭以外の投資信託の会計処理について
①委託者兼当初受益者が複数
⇒ 信託に対して支配等がなければ、オフバランス可能
⇒ 有価証券に準じて処理
②委託者兼当初受益者が単数
⇒ 引き続き当該信託財産を保有しているとみなして処理(オフバランス不可)
⇒ ただし、譲渡などして、受益者が増えた場合には、有価証券に準じて処理も可能
13.税務:欠損法人に係る繰越欠損金等の制限
【内容】欠損金または含み損の資産を持つ会社の合併時の留意点
①
越欠損金がある場合
特定支配日から5年以内に適用事由(※1)に該当
⇒ 適用事業年度(※2)以前の欠損金使用不可
(※1) 特定支配日以前に事業の全てを廃止見込である場合など
(※2) 適用事由に該当した事業年度
②
定支配時に含み損のある資産がある場合
適用事業年度から3年以内(※3)
⇒ 譲渡等による損失が損金不算入
(※3)特定支配日から5年を経過する日のいずれか早い日
14.ソニー凋落の影で スーパーチープ携帯の台頭
・ソニーがエリクソン買収時ののれんを一括償却。
・サムスン、アップルもスマホ事業は苦戦
(世界シェア2013.4-6→2014.4-6:サムスン32.6%→25.2% アップル:13.4%→11.9%)
・中国メーカーが台頭
(サムスン、アップルの500ドルスマホに対して、中心価格帯は200ドル)
・製造を請け負う台湾の鴻海は、「使わなくなったアップル用製造ライン」で中国メーカーのスマホを量産。
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