1.組織再編等の株主による差止請求
■ポイント
略式組織再編以外の組織再編について、株主に差止請求が認められるようになった。
■株主が差止請求をすることができるのは?
[現行]
・略式組織再編→①法令または定款に違反する場合、②対価が会社の財産の状況その
他の事情に照らして著しく不当である場合
・その他組織再編→名文規定なし
[見直し後]
・略式組織再編→①②
・その他の組織再編→①
※略式組織再編
略式組織再編とは、特別支配関係(他の会社の議決権の90%以上を保有する関係)に
ある会社間の組織再編について、
被支配会社の株主総会の承認を省略できる制度をいう。
2.社外取締役および社外監査役の要件が厳格化
■ポイント
①社外取締役の義務化は見送り
②社外取締役および社外監査役の要件は厳格化
■②で追加された要件
・親会社および兄弟会社の関係者でないものであること
・株式会社の関係者の配偶者または2親等以内の親族でないものであること
■影響
社外監査役の選任が簡単でなくなる
※関係者=取締役、執行役、重要な使用人、
自然人である親会社
自然人である親会社
※重要な使用人の範囲=執行役員等で通常の使用人を除く
⇒個別対応方式による場合において、
課税売上割合に代えて課税売上割合に準ずる割合を適用できる制度。
課税売上割合に代えて課税売上割合に準ずる割合を適用できる制度。
Ex.事業部ごとに課税売上割合を出して、それぞれで仕入税額控除を計算する。
・利用時の注意点
①準ずる割合の使用申請をしたら、有利選択はできない
⇒本来の課税売上割合>課税売上割合に準ずる割合のときでも
準ずる割合を利用する。
準ずる割合を利用する。
②準ずる割合が95%以上の場合
⇒全額控除はできない。
③禁止事項具体例
⇒総務部で備品を売った。
⇒ほかに売上がなければ、総務部としての課税売上割合は100%
⇒事業部ごとの課税売上割合を適用できるか?(全額控除できるか?)
⇒不可
4.海外子会社への増資で受贈益課税
原則 : 有利発行(第三者に対して時価より低い価額で新株を発行)の場合、
時価と発行価額の差額は、受贈益課税
注意 : 海外子会社への増資が『有利発行』であるとして受贈益課税を受ける事例が
発生: 海外子会社設立時に現地資本を入れるケースも受贈益課税のリスクあり
5.永年勤続表彰に係る給与課税
Q: ①~③の場合の永年勤続表彰制度で給与課税されることはあるか?
① 自由商品を選択できるカタログを支給
② 指定の店で購入させるスーツで、領収書と引き換えに支給する現金
③ 旅行券を支給
A: 原則、①~③は給与課税
※ ポイント :金銭を支給すると同様の効果をもたらすため
例外、②③は給与課税なし
※ ポイント :換金性がない、選択性に乏しい、金額が多額でない
6.役員給与の期中減額、定期同額判定で重要解釈
■ポイント
役員給与の期中減額改定が認められるのは
その法人の業績悪化などに限られる
■事例
法人が事業年度の中途に行った役員給与の減額改定が
子会社の借入金返済のために行われたものであるから
給与改定事由に該当しないとされた事例
■審判所の判断
法令69条1項1号は
給与改定を行った法人の業績悪化等を理由とした給与改定について
損金不算入としない旨を規定しているので
その法人の子会社の借入金返済のための給与改定は
同号に規定する給与改定には当たらないというべきである
■平成23年1月25日裁決・公表裁決事例No.82との違い
審判所が法令69条1号1項の法令解釈として
年度途中の給与改定の場合に損金算入されるのは
給与改定したその法人の業績悪化改定事由によるものに
限定したこと
参考:法令69条1項1号
法人税法基本通達9-2-13
国税庁「役員給与に関するQ&A」Q1
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7.【消費税】株式の取得に係る用途区分について
■株式購入費用の用途区分
国内に所在する株式の購入に係る手数料の用途区分は取得の目的により判定する。
①「投資目的」で取得した場合・・・非課税対応仕入
⇒株式の売却収入は原則として非課税売上になるため、
購入手数料は非課税対応仕入となる。
購入手数料は非課税対応仕入となる。
②「完全子会社化」のために取得した場合・・・共通対応仕入
⇒売却を目的としていないため「非課税対応」とはならない。
また、そもそも課税売上が計上されることもない。
よって共通対応仕入となる。
また、そもそも課税売上が計上されることもない。
よって共通対応仕入となる。
なお、国外に所在する有価証券の購入費用は「課税対応仕入」となる。
(参考)
企業再編を行う際に支払ったデューデリジェンス費用・・・共通対応仕入
⇒調査目的の支出であり、課税売上・非課税売上に直接対応しない。
よって共通仕入となる。
よって共通仕入となる。
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8.少数株主持分の取扱と当期純利益
(現行)
親会社説
2005年以前⇒負債と資本の中間に表示
2005年以降⇒純資産の部に株主資本以外の項目として記載
(従来)
当期純利益=親会社株主に係るもの
(今後の方向)
当期純利益=少数株主に係るものも含める
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9.税務調査と税務当局の裁量権
9.税務調査と税務当局の裁量権
【税務調査はいかなる法律に基づいて実施されてきたか。】
・今まで
→税務調査の法律問題について、具体的にこれを規定する条文はなかった。
最高裁判例:社会通念上相当な程度にとどまるかぎり、
権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている。
・これから
→税務調査における規定を明文化
(平成25年1月1日施行改正国税通則法)
10.加算税・延滞税
【修正申告を出したら必ず加算税は課されるのか。】
・結論:必ずしも加算税が課されるわけではない。
<原則>
①当初の申告が期限内申告で、
②調査によらない自主修正申告の場合
→加算税は課されない。
<ケース1>
調査の連絡を受けた段階で修正申告書を提出した場合には、
原則として加算税は課されない。
→事前通知があっただけでは加算税は課されない。
(国税庁事務運営指針に明記されている)
→但し、納税者が自分の誤りがあることに課税庁が気づいている
ことを何らかの理由でしっている(※1.更正を予知している)
場合は、加算税は課される。
<ケース2>
調査が始まってから提出された修正申告書は、
加算税が課されるおそれがある。
→判例によって分かれている。
(どこからが調査になるのか、調査のどの段階で
更正の予知があったとみるか
11.ストック・オプションがある際の、
潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定
・まとめ
普通株式増加数の算定上、
「翌期以降に費用計上する公正な評価額」を
考慮するようになったので注意
考慮するようになったので注意
(2011年4月1日以後開始事業年度から適用されている)
・潜在株式調整後1株当たり当期純利益の計算式
普通株式に係る当期純利益/普通株式の期中平均株式数+普通株式増加数※1
※1 普通株式増加数=SOが全て権利行使されたと仮定した場合に発行される
普通株式数△SOの権利行使により払込まれると仮定した入金額を用いて、
普通株式数△SOの権利行使により払込まれると仮定した入金額を用いて、
期中平均株価で普通株式を買い受けたと仮定した普通株式数※2
↑
※2 改正前:行使時の払込金額/期中平均株価
改正後:(行使時の払込金額
+翌期以降に費用計上する公正な評価額)/期中平均株価
+翌期以降に費用計上する公正な評価額)/期中平均株価
12.クラウドファンディングについて
(1)概要
インターネットを利用して、不特定多数から広く資金を調達する方法
※共感を得られれば大衆から資金を回収できる
(2)種類
①寄付型
【調達側の税金】
個人→個人 : 贈与税
法人→個人 : 所得税(一時所得)
個人→法人 : 法人税
法人→法人 : 法人税
(出資者側は寄付金と同じ取扱)
②購入型 (まずは資金を集め、商品ができたら提供)
・出資時は前受金として処理
・商品提供時に売上に振替処理
※売買取引のように扱う
<リターンが出資金より著しく低い場合>
→リターンと出資金の差額を寄付とみなされる可能性
<プロジェクトが失敗した場合>
→基本的には出資金を返金
③出資型(投資型・貸付型)
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