1.軽減税率の品目提示も線引き・財源手当てに難題
・与党税制協議会
…消費税軽減税率の検討課題となる対象品目、区分経理について選択肢を複数提示
・対象品目は「すべての飲食料品」から「精米のみ」までの8パターン
・「外食」の定義、「菓子類」にドライフルーツが入るかどうかなど線引きが疑問
・軽減税率を導入した場合の減収に伴う財源手当を考慮する必要がある
2.日本版IFRSの開発の経緯とその意義を探る
■日本版IFRSの主な検討事項
⇒のれんの償却について
⇒開発費の資産計上について
⇒当期純利益に関する項目について など
■日本版IFRSによる税務への影響は?
基本的に税務への影響はない。
※IFRS適用は連結財務諸表に限ってであるため。
3.法改正前の節税、是否認の分岐点とは
(IBM裁判で、行為計算否認規定による否認の困難さが浮き彫りに)
【事例】
①IBMが子会社株式を子会社へ売却(譲渡損失発生)
②税制改正により、上記節税スキームが禁止に
③税務当局が、①の行為に対して、行為計算否認規定を使って否認した
⇒税制改正前の節税策について、行為計算否認規定を適用できるか?
【裁判所判断】
・行為計算否認の規定は適用できない(IBM勝訴)
・税制改正前において、IBMの行った行為を禁止する規定は存在しない
・当該節税スキームは、立法にて制限すべきもの
※ポイントは、『税制改正時に想定されていた事象に対しては立法で対応すべき』という考えがあること
4.金商法単体開示簡素化の現状
■制度概要
平成26年3月末決算から有価証券報告書の単体財務諸表が簡素化され、多数の開示項目が削減されるとともに、残された開示項目の多くも会社法開示と同様の様式で可となった。
具体的に注記においては、
「有価証券に関する注記」
「税効果会計に関する注記」
「重要な後発事象の注記」
「継続企業の前提に関する注記」
を単体の財務諸表の開示において記載すればよい。
■企業側の評価
開示のコストが低減したと言う声が多い一方で、「有価証券に関する注記」及び「税効果会計に関する注記」は連結において詳細な記載がなされているため、不要では?といった声も上がっており、もはや金商法の単体開示など要らないということではないか?」との声も上がっている。
金融庁は「どれだけ簡素化しても単体開示の廃止だけは避けたい」と考えており、今後のさらなる単体開示の簡素化に関しては、綱引きが続きそうとのこと。
5.消費税:消費税 適用税率を誤りやすいケース
①値増金を収受する場合
(法人税)
建設工事の請負に係る値増金等で契約で定められていないものは、相手方との協議により金額が確定した時点で収益計上する。
⇒適用税率は資産の引き渡しがあった時の税率となる。
②見積額と確定額に差がある場合
(法人税)
期末時点の現況により見積り計上した金額と翌期に確定した金額に差がある場合、差額分は翌期の収益として計上する。
⇒値増金と同様に資産の引き渡しがあった時の税率を適用する。
■注意点
上記①、②の場合26年4月1日以後に金額が確定した場合であっても5%の税率を適用するケースがあるので注意が必要。
6.法人税改革をめぐる政府•与党の論点
●法人税実効税率を現在の35%強から20%台へ引き下げる方向
●財源
•特別控除等の租税特別措置の見直し
•繰越欠損金の年数の変更
•減価償却の定額法への統一
•資産運用目的の受取配当について、益金算入
•中小企業の基準見直し
•外形標準課税の範囲拡大、事業税の損金不算入化
7.金商法改正 新規上場後3年は内部統制監査免除
(導入理由)
・上場時に取引所から内部管理体制も含めた厳格な上場審査を受けている
・新規上場企業は財務負担能力が低い場合が多い
・米国でも、上場促進のため、新興成長企業を対象に内部統制監査を5年間免除している
(免除対象外)
・対象外となる企業の具体的な数値基準は、関連政令、府令で定められる予定
※現状案では資本金100億円以上又は負債総額1000億円以上を想定
8.定時株主総会の運営、議事録・終了後の実務ポイント
①運営のポイント(一部)
・株主の質問に対する規制として「1人の株主につき1回しか質問させない」という取扱いは行き過ぎた制限であり避けるべき。
・説明義務がない質問について回答を拒否する場合、回答しない理由も述べることが望ましい。
②議事録・終了後の事務(一部)
・株主総会議事録は10年間本店に、5年間支店に備えおく
・決議事項によっては登記が必要な場合もあるから注意
(一部の定款変更、代取の変更、取締役の改選、監査役の改選等)
9.「経理・財務」の職務分担の見直し
(1)職務分担が機能していないケース
①必要な作業にも関わらず誰もやっていない
②複数部門・部署での作業の重複
③適任者ではない部門、担当が実施
④誰のためにもなっていない
(2)改善例1
・経理部の伝票承認フローが4段階で時間がかかっていた
→伝票の種類に応じてチェック担当者を割当
(全員で手分けしてチェックする方法に変更)
→重点管理する伝票を定義
この伝票だけは上席が再チェック
→増減分析による異常値チェックを導入
※全部の伝票が重要なわけではない
(3)改善例2
・小口現金の管理が膨大
→小口現金を廃止
→コーポレートカード、社員立替等の導入等
10.システム変更時のJ-SOX上の対応
→期中に勘定系システムを変更した際の、J-SOX上の対応・留意点
■経営者評価
・期末日に存在する内部統制の有効性の評価のみで良い
→システム変更後の内部統制についてのみ評価
→運用状況を評価するための期間をきちんと確保する
■監査人評価
・経営者評価と同様にシステム変更後の内部統制のみ評価で良い
→ただ、内部統制監査とは別に財務諸表監査がある
→財務諸表監査は期首から期末までの確認が必要
→システム変更前、変更後両方の評価が必要
→翌期に勘定系システムを変更する場合
■内部統制報告書
・付記事項に後発事象として記載を検討する必要がある
11.危ない企業買収
・なぜM&Aは失敗するのか?
①「時間を買うため」「われわれにない事業や能力を手に入れるため」といった買い手側の都合しか考えず買っている
→「なぜ売りに出ているのか」といった売り手側の都合・思惑を考えていない
例)ロート製薬は米国メンソレータム社を買収
メンソレータム社は同族経営で後継者がいない、というはっきりした売却理由ありその後、自社の販売ルートにメンソレータムの製品を乗せ、シナジー効果を発揮
②「国内事業が厳しいので海外に出るかしかない」という「追い込まれてから起死回生を狙う」
例)NTTドコモ
→ 米国AT&Tワイヤレスに1兆円出資 ITバブル崩壊で2004年撤退
→ インド タタ・テレサービシズに2700億円出資 2014年撤退
③M&Aの経験が単純に少ない
→うまい会社は専任の役員をおき、小さな会社を日頃から買っている。
例)JTは、1兆円で米国RJRIを買収する7年前、英国のタバコ会社を1億円で買収
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決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
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