2019年7月4日木曜日

6/21 勉強会:有形固定資産の評価モデル 他

1.国税庁、仮想通貨等ネット取引の情報収集・分析体制を強化へ

・国税庁は暗号資産(仮想通貨)取引等のネット取引に対する情報収集・分析を強化拡充するために、
7月から新たなプロジェクトチームをすべての国税局に設置する予定(200人規模)。

・ネット取引の実態や所得規模に応じて、お尋ね文書の送付や、
大口・悪質な申告漏れが見込まれる納税者に対しては厳正な調査を実施する方針。



2.在外子会社会計処理、リースは修正せず

■親子会社間の処理の統一
・会計処理について、連結親子間の処理は統一
・親が日本(日本基準)vs子が海外(米国基準orIFRS)の場合の調整について
・IFRSでリースが今期大幅改正。日本基準での連結取込みにあたり修正はしないことになった

■処理の統一に関する主な内容
・のれんの処理
・研究開発費の支出時費用処理 など5項目のインパクトが大きいもので調整が必要とされている

■IFRSのリース(IFRS16)
・オンバランスの範囲が日本と大きく異なる
・当該IFRS適用の在外子会社の取込みにより影響が出るのは2020年3月期第1四半期(2019年6月)から




3.消費税事案・受還付未遂犯を多数告発

平成30年度の消費税事案の告発件数は41件(前年度比+14件)

■消費税受還付事案の告発件数16件(前年度比+4件)
・免税店(輸出物品販売場)制度の悪用
・太陽光発電施設の取得を装った事例
⇒消費税受還付事案は16件を告発、うち不正受還付「未遂犯」の告発8件。

■平成30年度の無申告ほ脱事案は18件(前年度より3件減少)

■平成23年度税制改正で創設された単純無申告ほ脱事案は10件(過去最高)

■平成30年度の国際事案は20件(前年度比+5件)
⇒ネット通販事業者や不動産業者などが告発された。

■平成30年度中に一審判決が言い渡された査察事件は122件
⇒有罪率100%、実刑判決7人

【会社代表者に実刑判決(懲役4年6月)】
美容関連製品の輸出販売会社が架空の国内仕入及び架空の輸出売上を計上する方法により、3億300万円の消費税の不正還付を受けていた。




4.上場会社におけるガバナンスの課題

・親子上場はコーポレートガバナンスの観点から問題が多く、海外投資家だけではなく国内投資家からも批判が多い。そこには日本特有の資本政策がある。

■メリット
・資金調達手段の多様化
・経営信用力・効率性向上
・有能な人材確保
・二重のモニタリング効果

■デメリット
・経営上の課題
・利益相反問題

・コーポレートガバナンス強化の中で、上場子会社の少数株主保護及び独立した意思決定の確保のため、親会社から独立した社外取締役の役割が重要になってくる。




5.ESG指標連動の役員報酬は損金不算入

・業績連動報酬の算定根拠にESG関連指標を採用する企業が出てきているが、法人税法上は損金不算入

・業績連動報酬を「ESG関連指標連動部分」と「財務指標等連動部分」に分離すれば、後者のみ業績連動給与として損金算入可能

・コーポレートガバナンス・コードが企業にESG対応を求めることもあり、今後税制改正の対象となる可能性がある



6.公正価値ガイダンスとなる時価算定会計基準が決定へ

■適用時期
 2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度

■時価の考え方
・市場を基礎としたもの
・算定日における価格
・出口価格
 ⇒その他有価証券のBS価額として期末1か月の市場平均価格を用いることはできなくなる。
 (算定日における価格ではないため)

■開示
・年度
レベルごとの残高
評価技法、インプットの説明(レベル2と3)
・四半期
レベルごとの残高(金融商品の重要性が高い場合のみ)




7.法人税 退職役員の最終報酬月額に関する考察

■平均功績倍率法計算式
類似法人の功績倍率平均値×最終報酬月額×勤続年数

■考察
最終報酬月額10万円、事前確定届出給与1,080万円 年額計1,200万円の
場合、最終報酬月額は100万円(1,200万円÷12月)で計算できるか?

※以下は検討意見のため税務的に認められるかどうかは個別判断に拠るので注意
<意見A>
取締役会において、「年額1,200万円、内1,080万円を事前届出給与にて支給」の
旨決議されていればOK

<意見B>
事前確定届出給与は「賞与」的な意味合いが強く、過去の功績を反映している
「報酬月額」とは分けて考えるべきものであるからNG

<意見C>
単に年間支給額の平均を取ることが適正でないと考えられる場合には「平均功績倍率法」
ではなく、「1年当たり平均額法※」の採用を検討するべきである

※類似法人の1年当たりの退職役員給与の額の平均額×在職年数





8.所得税:退職後に支払う給与は「甲欄」で源泉徴収できるのか??

■事例
・給与の支払形態が「月末締翌月払い」である
・3月末に退職
・翌4月に支払う給与の源泉徴収の方法は?

■原則
・退職に伴い扶養控除等申告書の効力が消滅する
⇒4月以降の支払い、月額表の「乙欄」を適用することが原則的な扱い

■事例のケースで「甲欄」を適用してもよいか
実務上、以下を前提として「甲欄」を適用しても問題ないと考えられる
・退職日以降に給与の追加支払いを行う場合
・退職者が退職後、別会社に扶養控除等申告書を提出していない場合
⇒残業代等の未払分の支払い、再就職していない等

■税務調査が入った場合
・退職者に退職後支払った給与の源泉徴収の徴収方法がチェックされるだろう
・退職者が再就職をしているか否か明らかにする必要あり
・保守的に考えれば「乙欄」で徴収しておくのが無難




年金バイアウトの会計処理

・日本企業の米英子会社が、財務リスクを回避するために、「年金バイアウト」を実施(日経新聞 5/28)。
・「年金バイアウト」とは、確定給付企業年金の資産・負債を外部の保険会社に引き継ぎ、支給も保険会社が負うようになるもの。
・日本では法制上認められていない(議論中)。
・会計処理は下記のようになると推測される。
 (1)終了した退職給付債務と、減少相当額の支払額の差額を損益認識。
 (2)数理計算上の差異等は、終了時点の退職給付債務の比率等に応じて損益認識(※)。
 (3)(1)(2)は特別損益として純額で表示。

※IFRSの場合は、数理計算上の差異をその他包括利益で認識し、リサイクリングしないため、損益認識はなし。



10.インセンティブ報酬と偶発事象に関する研究報告

・JICPAは5/27に下記15・16号を公表。

■会計制度委員会研究報告第15号「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」
・株式報酬・業績連動報酬のインセンティブ報酬や、ストックオプション等を除き、明確な会計処理規程なし。

・新しい報酬が生み出される現状を踏まえ、下記の報酬について会計基準の開発を進めるべきとしている。
①初年度発行型パフォーマンス・シェア
②役員向け株式交付信託
③業績連動発行型パフォーマンス・シェア(パフォーマンス・シェア・ユニット)
④株価連動型金銭報酬

■会計制度委員会研究報告第16号「偶発事象の会計処理及び開示に関する研究報告」
・偶発事象に係る会計基準は存在しない。
→偶発事象全般に関する会計基準の開発を検討するのが望ましい。




11.ウーバーとリフトの失敗をよそに、米IPO市場が快調

・先週IPOを実施した3社(※)の株には投資家が殺到し、いずれも株価が50%以上上昇した。
(※)
1.サイバーセキュリティー会社のクラウドストライク・ホールディングス
2.ペット用品のオンライン販売を手掛けるチューイー
3.フリーランスと企業をつなぐフィーバー・インターナショナル

・いずれも赤字上場であるが、投資家は成長に価値を置いているためと言われている。

・なお、ウーバーとリフトの株価は現在IPO価格を下回っている。
・成長が停滞しており、黒字化への明確な道筋が欠けていると投資家は見ているためと言われている。




12.有形固定資産の評価モデル

有形固定資産の評価には①原価モデル、②再評価モデルの2パターンがある
評価モデルは有形固定資産の種類ごとにいずれかを会計方針として選択する

①原価モデル
取得原価-減価償却/減損損失累計額=帳簿価額
→一般的な有形固定資産が対象で、通常の有形固定資産のイメージ

②再評価モデル
再評価日現在の公正価値-減価償却/減損損失累計額=帳簿価額
→信頼性をもって公正価値を測定できる有形固定資産に限定
→再評価は必ず毎期やる必要はなく、定期的に再評価が必要となる
→評価差益はその他包括利益、評価差損は純損失で処理

・減価償却
IFRSで減価償却方法は会計上の見積りに該当(日本基準は会計方針)
→見積もりのため、毎期見直しが必要となる



13.インボイス制度~その5~

■適格請求書等保存方式
・2023年(令和5年)10月1日より新しい仕入税額控除方式として適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)がスタートする。
⇒税務署へ申請し登録を受けた課税事業者である事業者が発行する「適格請求書」が新たに要件となる。
つまり登録を受けていない免税事業者等への支払については仕入税額控除を受けることができない。

■登録申請書の提出=課税事業者選択届出書の効力発効
・原則として適格請求書を発行できる事業者になるには所轄税務署へ課税選択届出を行った上で、
登録申請書を提出する。
・経過措置として免税事業者が令和5年10月1日の課税期間中に登録申請書を提出しが受理された
場合には、登録された日から課税事業者となるため課税選択届出書の提出は不要となる。
 (免税事業者の登録申請書提出は任意であるが相手方は仕入税額控除を受けられない)

























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