2019年7月4日木曜日

6/28 勉強会:株式報酬に関する四半期注記ポイント 他

1.最終親会社等届出事項の提出期限延長を

■最終親会社等届出事項とは
・特定多国籍企業グループの最終親会社等の情報を提供できるグループ会社が複数ある場合に、
どの法人が代表して情報提供等をするのかを意思表示する文書
(例えば日本国内に、A社、B社、C社というグループ会社があったと場合、
A社が代表して提出しますということを意思表示する)

⇒提出期限である「最終親会計年度終了の日まで」に提出するのは実務上負担が大きいため、延長を求める声が高まっている。


2.税制改正で欠損法人数が8年連続減少

■2017年度分の会社標本調査
・欠損法人(課税所得<0の法人)が8年連続で減少
・分析:景気回復+繰越欠損金の控除制限(2015改正~/現行50%)
・繰越欠損金の翌期繰越額:3年連続増加
⇒大法人における使用限度額の改正&控除割合の低下により使用できる繰越欠損金が減っただけで、依然として全体として回復しているわけではない?




3.相続財産の仮装隠蔽をめぐり重加算税の取り消しが相次ぐ

■建物更生共済契約に係る権利を申告しなかったケース
・被相続人名義で契約していた農協の共済契約が、満期到来により相続人名義の口座に入金、名義を相続人に変更し、継続する手続きを行った。
・共済契約に係る権利が相続財産と認識していたものの、税理士にその存在を伝えずに過少に申告。
⇒隠蔽の行為が認められるとして重加算税の対象
【判決】
重加算税を取り消し
⇒税理士は申告手続きの時に共済契約に関する具体的な説明をしていなかった。
⇒相続人は共済金を容易に把握し得ないように他の口座に入金するなどの行動はなかった

■相続人名義の定期預金を申告しなかったケース
・相続財産であることを知りながら当初から過少に申告した
・税理士に定期預金の存在を秘匿していた。
⇒隠蔽又は仮装があったとし、重加算税の対象
【判決】
重加算税の取り消し
⇒相続人は定期預金が相続財産に含まれると認識していたとは認められない。
⇒税務調査直後に定期預金の通帳を提示したことから、隠す意図はなかったと認められる。




4.所有者不明土地問題で民法改正へ、その課題は?

■現況
土地の所有者が死亡しても相続登記されないこと等により、登記簿により所有者が直ちに判明せず、判明しても連絡がつかない土地が増えている。
⇒土地の利用が阻害されている。

■対策
・発生の予防
相続登記義務化
情報の最新化
期間制限を設ける
・円滑な利用
民法の共有制度や財産管理制度の見直し
相続関係規定の見直し




5.軽減税率制度

■持ち帰り販売(テイクアウト)
・テイクアウト、出前、宅配による飲食は軽減税率適用

・「持ち帰り」に該当するか否かは、顧客の意志により判定する
店内で飲食する旨の申請 ⇒ 標準税率
持ち帰る旨の申請      ⇒ 軽減税率

食べ残した料理をお土産として持ち帰る場合などは、もともとは店内での飲食用として提供されたものであるため、標準税率適用



6.外国子会社該当性は「株式の数で判断」

■概要
外国子会社配当金益金不算入の対象となる会社は法令上、以下と定められる。
「外国法人の発行済株式または出資の総数または総額のうち、
法人が保有している株式または出資の数又は金額の占める割合が25%以上」

■事例
法人Aは”株式の金額”で25%判定をして、益金不算入としたが、
国税不服審判所は”株式の数”で判定すべきとして適用できないとした。

■結論
法令をそのまま読むと、①株式の数、②株式の金額の2パターンで
25%判定が可能なように読めるが、株式会社の場合はその支配力を示すのは
株式数ということで、金額での判定は認めないとしている。



7.消費税 自動販売機の手数料と軽減税率

<ケース別税率>
・自販機におけるジュース等の販売:飲食料品の譲渡として8%
・売上げに応じて設置メーカーから支払われる金銭:手数料として10%
・飲料メーカーからの奨励金:手数料の増額分として10%
・自販機設置者がメーカーから仕入れる場合の仕入:飲食料品の譲渡として8%
・多量に仕入れたことに対する飲料メーカーからの奨励金:仕入に紐付くものとして8%
⇒同じ、メーカーからの奨励金であっても税率区分が異なるケースがあるので注意




8.消費税:土地譲渡の譲渡対価を課税売上と誤認

大企業の経理担当者が土地の譲渡の会計処理において、
消費税の処理ミスが発生している

土地の譲渡は非課税売上であり、課税売上割合に影響をあたえるため、
間違えると追加納税(過少申告加算税等)の対象となる。
※仕入税額控除が過大となるから。

■土地を譲渡した場合の消費税のポイント
・国内の土地を譲渡 ⇒ 非課税
・土地の譲渡対価 ⇒ 課税売上割合の「非課税売上高」に含める
・土地と建物を一括譲渡した場合 ⇒ 土地は非課税、建物は課税
・一括譲渡した場合の譲渡対価は、以下の方法等で区分する
 ⇒時価で按分
 ⇒相続税評価額や固定資産税評価額を基に按分
・課税売上割合に準ずる割合の適用を検討する

■たま土地
単発で土地の譲渡を行った場合、
土地を譲渡しなかった場合の課税売上割合と比較して著しく減少することがある
⇒「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出することで、
直近3年間の通算の課税売上割合などで消費税の計算することが可能。




2019年上半期 新規上場は42社

・うち28社がマザーズ上場。東証1部は1社のみ。
・業種別では「情報・通信」が15社、「サービス」が14社。
・監査法人別では、最多がEY(14社)、次いであずさ(9社)、トーマツ(7社)、太陽(5社)。
・IFRS上場はゼロ(2014年以降は累計19社上場済)。



10.収益認識基準対応と内部統制

■判断・見積もりに関するリスクと内部統制
・内部統制を構築する際、まず経理部門が収益認識基準の特徴に起因する、財務報告上のリスクを識別する。
・会計処理方針の決定に合わせて、「会計処理のために必要となる情報や実施すべき判断」を、経理部門が関係諸部門に明示する。
⇒必要な情報が得られない場合は、新たな業務プロセスを構築する。
・自社内の取引を定型化する。
⇒契約内容等を調整し、実施すべき判断や会計上必要となる見積もりを定型化する。
・判断過程や見積もりの根拠資料を記録・保持する。
⇒見積もりの「過程」の明確化は、実態との乖離のモニタリングの実効性を確保するためには、特に重要。
・営業部門等の責任者の、財務報告上の責任と義務の明確化が重要。

■キーコントロールの事前検討と選定
・キーコントロールは事前検討が重要。
・キーコントロールを含む内部統制を構築する際、「内部統制の連係」を考慮する。
⇒上位レベル、下位レベルに分けて考える。ただし、画一的に上位の統制が良い、というわけではない。
・経理部門
⇒日常的モニタリングを重視した内部統制の構築を関係諸部門に指示、自らの日常的モニタリングとしての役割を明確にする。
⇒関係諸部門が構築した内部統制が適切か、関係者の責任と義務が明確になっているか、経理部門への情報伝達が正確かつ網羅的か、検証する。




11.取得となる株式移転

■株式移転とは
⇒A:新たに設立される親会社、B:子会社となる会社
 Bの従前の株主からBの発行済株式を全て受け取る組織再編
■株式移転において取得となるスキームがある
⇒パーチェス法(時価で)で会計処理
・取得企業≠株式移転設立完全親会社
 取得企業=株式移転完全子会社のいずれか
 被取得企業=取得企業以外の株式移転完全子会社


12.有償支給取引における支給元・支給先での会計処理の注意

■有償支給取引
外注先に材料を有償で支給し、その後外注先が加工した後に再度買い戻す取引。
自動車業界で主にみられる(完成車メーカー⇔部品メーカー)
⇒有償支給した部材費に外注加工賃が上乗せされて、完成品メーカーに戻される。

■支給元(完成車メーカー側)⇒買戻義務があるか
(1)買戻義務ある場合
⇒支給品の消滅を認識しない(有償支給の対価を負債※として認識)
(2)買戻義務ない場合
⇒支給品の消滅を認識する(材料簿価と有償支給の対価の差額は負債※として認識)
※どちらの場合でも収益の認識はしない(最終完成品に係る収益との二重計上を回避)

■支給先(部品メーカー側)⇒本人なら総額(部材費+加工賃)、代理人なら純額(加工賃)計上
約束の履行に対する主たる責任、在庫リスク、価格裁量権を総合的に検討する必要がある。
⇒一般的には、代理人に該当することが多い




13.様々な支給方式と有償支給取引

自動車産業においては、部品サプライヤーと完成品メーカーとの間に様々な部材の支給方式があるが、有償支給により部材を部品メーカーへ直接支給することが多い。

■有償支給が行われる理由
・部品サプライヤーの購買力不足
・特殊な部材であるため部品サプライヤーでの調達が困難な場合
・ボリュームディスカウントの獲得
・余剰部材の活用
・無償支給では、部品サプライヤーのコスト意識の低下(無駄遣いや流用が起こりやすい)

■その他の支給方式
管理自給方式
・メーカーが部材の仕入元と価格交渉を行い、部品サプライヤーがその価格で部材を調達する方式であり、ボリュームディスカウント等のメリットを享受しながら、通常取引と同様の流れになる。

母材自給方式
・完成車メーカーが部品サプライヤーに部材を支給するが、加工賃については部品サプライヤーが部材の仕入元へ支払う方式。





14.子会社の決算期変更を行う場合の留意点

近年、IFRSの移行に備えるため、より精度の高い経営管理を行うために、
グループ内の決算期統一を行おうとする会社が増えている。

■決算期を統一する方法
・子会社の決算日を変更する方法、親会社の決算日を変更する方法の両方が考えられる
⇒子会社数、子会社の所在国、同業他社の決算期を考慮要因とし検討しなければならない。

■会計方針の変更に該当するか
・親会社又は子会社の「決算日」の変更は「会計方針」の変更には該当しないと考えられる。
・四半期報告制度や次年度以降の比較情報の有用性を考慮すると、会計方針の変更の取り扱いに準じて、
親会社の第1四半期決算から四半期連結決算日の統一を行うことが適当と考えられる。
⇒決算日の統一を行う上で、やむを得ない事情がある場合は、損益計算書を通して調整する方法のみ採用ができ、実施した会計処理の概要、その理由も記載することが適当と考えられる。





15.ウォルマート、西友株を過半数保有しつつ日本で上場目指す

・ウォルマート・ジャパン・ホールディングスと西友が26日、今後3年間の事業計画を発表し、西友株について日本での再上場を目指す方針を明らかにした。
・ウォルマートは西友と2002年に包括的業務提携契約を締結。
・当初は西友株6.1%を保有していたが、その後段階的に買い増して08年に完全子会社化。
・提携開始当初までは業績の低迷が続いたが、ウォルマートのEDLP(※)で収益の回復を図ってきた。
(※)エブリデー・ロー・プライス
・西友は非上場のため、詳細な業績は不明だが、現在の年間売上高は7000億円程度とみられる。
・西友の顧客満足度指数は9位(1位:オーケー、2位:コストコ、3位:ヤオコー)



16.IFRSと日本基準の重要な相違点-開示

■財務諸表の種類
・日本基準
連結貸借対照表
連結損益及び包括利益計算書または連結損益計算書と連結包括利益計算を別個に作成
連結株主資本等変動計算書
連結キャッシュフロー計算書
連結附属明細表

・IFRS
財政状態計算書
純損益及びその他の包括利益計算書または純損益計算書と包括利益計算書を別個に作成
持分変動計算書
キャッシュフロー計算書
会計方針および注記
→日本基準とIFRSでも求められる財務諸表に大きな差はない。

■特別(異常)損益の表示
・日本基準
内容を示すもの名称を付して表示可能
・IFRS
特別(異常)項目として開示できない
→IFRSでは段階損益の概念がなく、経常損益の区分がない
→日本基準では特別損益として処理していたものが営業損益に反映される

■その他包括利益項目のリサイクリング(組替調整)の有無
・日本基準
すべて組替調整対象(その他有価証券評価差額金等)
・IFRS
一部組替調整が行われないその他の包括利益項目がある
→固定資産の再評価モデルに係る再評価剰余金(イメージとしては土地再評価差額)は対象外
→リサイクリングとはその他包括利益として認識したものを改めて損益計算書をとおして純資産に認識すること





16.消費税 経過措置~その1~

■10月1日以後に行う課税資産の譲渡等
・10月1日(施行日)以後に資産の譲渡等や役務の提供について旧税率8%が適用される。
(軽減税率対象資産の譲渡については経過措置が適用する必要がない)
①旅客運賃等
 施行日後に乗車又は搭乗予定の新幹線や航空券を9/30以前に支払った時は、施行日後のものであっても
 8%の税率が適用される。映画、演劇、美術館や遊園地の入場券も同様の扱いとなる。
②電気料金等の税率に関する経過措置
 施行日前から継続して供給され、施行日後に検針等により支払金額が確定する場合
その確定した金額には8%が適用される
③請負工事等
 指定日の前日までに締結した請負工事について完成し納品が施行日後であっても、
8%の税率が適用される。(指定日:H25.10/1~H31.4/1)
⇒請負工事とは建築工事(建設に係る測量やデザイン等を含む)、製造の請負契約、ソフトウェア開発など
 仕事の内容に相手方の注文がついており、完成に長期間を要し、引渡が一括で行われる契約




















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

0 件のコメント:

コメントを投稿